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 1)Nikon NewFM2(/T)

 

 説明するまでもなく、NewFM2はニコン社の超ロングランカメラである。先々代のFMの発売が1977年だから、コンセプト的には20年以上の歴史を持つカメラだということになる。20年以上も同じようなカメラを小改良しつつ造り続けているのだから、明確に指摘できる欠点などあるはずもなく、誰もこのカメラの悪口をいわない(いえない)のも当然。

 主なスペックは以下のとおり(カタログより抜粋)。



・シャッター方式完全機械式(つまりはぜんまい)
・シャッタースピード1sec〜1/4000sec、B
・フラッシュ同調1/250sec以下
・測光方式中央部重点測光(中央部重点60%)
・測光結果表示LEDによる5段階表示
・露出制御マニュアル
・ファインダー視野率93%
・ファインダー倍率0.86倍
・巻き上げマニュアル
・巻き戻しマニュアル
・重量515g(NewFM2は540g)

 早速だがこのカメラの「気に入っている点」からいこう。

・安っぽさがない

 このカメラが高いか安いかはこの際置いておいて「安っぽさ」はないと断言できる。巻き上げレバー、シャッターボタン、シャッタースピードダイアル、巻き戻しクランク、裏ブタの開閉など、すべての操作部品は必要以上にガタつくことなく、シッカリとした操作感を与えてくれる。

特に巻き上げレバーは滑らかな感触で、巻き上げ作業自体に楽しさを覚えるほどである。

[巻き上げている写真]

 外装は上下カバーにチタンを使用しており、見た目からも頑丈っぽさを感じさせてくれる。よく見ると、Nikonのロゴからマウント周辺にかけての部分はプラスチックなのだが、まったくプラスチックだと気付かせない処理がしてある。いい意味で、すばらしいゴマかし技術だ。 マウント部はもちろん金属。レンズの取り付け時もカチッという反応が返ってきて心地よい。 最近のプラスチックボディにはない高級感を持っているといえるだろう。

・大きさ、重さ

 大きさ、重さは人の好みもあるだろうが、一眼レフはあまり小さかったり、軽かったりというのは、個人的によろしくないと思うので、少々主観になるが「ベストバランスだ」と言い切ってしまおう。

 大きさに関しては、私の手の大きさにピッタリなのである。この大きさだと、自分の手のほぼ一体化しているために、手に持って歩いていても、不意にどこかにぶつけることがないのだ(でかいレンズを装着しなければ、だが)。

[カメラを手に持った写真]

逆に、これ以上小さいとカメラを構えたときに持ちにくくなる。持ちにくさは手ブレに直結するため、致命的である。欲を言えば、向かって左端にグリップが(ほんの)少々出っ張っているとなお良かったかもしれない。 重さに関しても、安っぽさを感じさせない重さ、手ブレしないための必要最小限の重さを確保しているといえる。主観だが「見た目通りの重さ」「レンズに負けない重さ」という点でちょうどよい重さだろう。

 さて、こういったレポートには珍しい項目だが「どうでもいい点」というのを挙げてみる。

・全速メカニカルシャッター(シャッターダイアルの写真)

 よく、これをありがたがっている人がいるのだが、個人的にはどうでもいい点に挙げておく。

イザという時に電池がなくても撮れる、というのは利点に違いはないのだが、電池がないと内臓露出計が働かない。

[シャッターダイアルの写真]

露出計を持ち歩いてたり、時にはヤマカン露出をするような、内臓露出計を使わずに写真を撮れる人ならともかく、普通の人は内臓露出計が死んだら写真は撮れない。だいたい、露出計に使っている電池だって、ほんの小さなボタン電池なのだから、予備を持ち歩いてたってまったく負担にならないはずである。それより、電子制御されてないシャッターのバラツキほうがよほど弱点となりやすい。星の写真を撮る人、極寒の状況で写真を撮る人などに、少しのメリットがあるだけだと思うのだがどうだろうか?

・1/4000sec高速シャッター

 考え方ひとつなのだが、一眼レフを使うからにはコンパクトカメラに撮れないキレイな写真を撮るべきであり、よって必要以上に高感度フィルムを使うべきではないと考える。つまりISO100のフィルムが基本だと思うわけだ。すると、快晴で50mmを絞り開け気味に使う以外、1/4000secなんて無用の長物。だいたい、メカニカルの1/4000secなんてホントに出てるか不安が残る。NDフィルタを被せるか、少々絞ればそれで済むことである。だいたい、雑誌に掲載されている写真の撮影データでも1/4000secなんてデータみたことがない。1/12000sec搭載なんてカメラもあるが、そんな中途半端なスピードどうやって使うのだろうか?

 このカメラに欠点などないが、主観の元に「悪い点」も挙げてみよう。

・使えないレンズがある(マウントの写真)

 伝統のFマウント、といいながらも、Ai方式以前のレンズはNewFM2には装着することができない。中古カメラ屋にはいまだにAi方式以前のレンズがあふれているのに関わらず、である。

[マウントの写真]

先代のFMは露出計連動レバーが可倒式なので、ほとんどすべてのレンズを使うことができた。ここはだけ先代に比べて退化した点であり、非常に残念なことである。単なるコストの問題だけなのだろうが、NewFM2自体、中古レンズを活用しそうなユーザ層に最適なカメラだけに、なんとしてもここだけはケチるべきではないと思うのだが……。

・シャッター音が情けない

 まったく個人的な意見だが、シャッター音はお世辞にも心地よいとはいえない。私が初めて意識した一眼レフは、ミノルタのX-700だったのでより強くそう思うのかもしれないが(X-700は「シュパンッ」と滑り音を含む素晴らしい音がする)。縦走りシャッターの宿命だろうか? 個人的にシャッター音はカメラを使う快感の大部分を占めると考えるため、理由はともかく非常に残念である。

 さらに、こういったレポートには珍しい項目だが「欠点ではない点」というのも挙げておく。

・追針式じゃない測光結果表示

 NewFM2の「+○−」のLED表示が気に入らないという意見をよく聞く。そのため追針式のFE2は中古市場で大人気らしい。まぁ、個人の好みの問題なのでなんともいえないが、周囲が暗くてもイルミネータなしで、ハッキリ測光結果が読み取れるLED方式は個人的に最高だと思う。欲をいえば「+○−」の相対表示だけでなく、シャッタースピードのリスト表示のある絶対表示方式(FE10とかCONTAX S2とかみたいな)との併記が最高だろう。

・ミラーアップがない(セルフタイマの写真)

 ときどきミラーアップがないことを指摘する評価記事を読むが、そんな記事を書いたヤツはNewFM2を使ったことがないと断定しよう。 実はNewFM2にはミラーアップ機能がある。カタログには表だって書いてないが、ミラーアップ機能はセルフタイマ機能の中に組み込まれているのだ。

[セルフタイマレバーの写真]

実に頭がいい設計なのだが、セルフタイマをセットしてレリーズすると「すぐにミラーが上がって、所定の時間後シャッターが切れる」のである。これはミラーアップしていることにほかならない。この機能がNewFM2固有のものかは知らないが、部品数を増やすことなく、ミラーアップ機能をさりげなく組み込んだ技術者はまぎれもない天才である。ミラーアップが画質向上にどれほどの効果があるかはともかく、ミラーアップ機能は確かに存在する。

 以上、NewFM2/Tの1年間みっちり使って、気付いた点を挙げてみた。細かい点はともかく、非常によくできたカメラだと思う。使っていてストレスを感じたことは一度もない。まぁ、カメラの使い方など千差万別であり、個人的な好みもあるので、もちろん上の意見は絶対ではない。NewFM2購入を考えている人の一助となれば幸いである。




 
   
 
 


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