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 3)男性型? 女性型?

 

 「男性型鉄塔? 女性型鉄塔? え? 鉄塔に性別なんかあるの?」

 あるといえばある、ないといえばない、う〜む、厳密にいうと性別はないのですが……。実は「鉄塔武蔵野線」という鉄塔をテーマにした、小説の中で鉄塔に性別が定義されているのです。

 この「鉄塔武蔵野線」は、夏休みのある日、鉄塔に「武蔵野線」という看板のかかっているのに気付いた少年が、鉄塔に興味を抱き、友達とふたり自転車にまたがり、鉄塔を辿っていくという話です。

 こう書くと「そんな話、どこがおもしろいの?」といわれそうですが、この小説の醍醐味は、主人公の子供らしい感性がとても詳しく描写されていることにより、忘れてしまった子供心を思い出せるところなのです。

 さて、ここで興味を持たれた方は小説を読んで頂くとして、鉄塔話に戻りましょう。そうなのです、鉄塔の性別を定義したのは、何を隠そうこの小説の主人公の少年なのです。

 右の写真を見て下さい。左の大きな鉄塔が女性型鉄塔、右の小さな鉄塔が男性型鉄塔です。

 さて、男女の区別は何が決めてなのでしょう? 大きさじゃありませんよ(ちなみに左の女性型はコックさん鉄塔でもあります)。

 カンのいい方はもう気付いているでしょう。そうです、鉄塔の腕金についているガイシがどのように電線をつかんでいるか、それが、男性型、女性型の区別なのです。

[男性&女性型鉄塔の写真]

 男性型鉄塔は、腕金から垂直に数条のガイシが垂れ、電線を「吊り上げて」います。それに対して、女性方鉄塔は、腕金の前後方向にガイシを振り、電線を「引っ張り上げて」いるのです。男性型女性型の由来は、男性型が怒り肩っぽくて堅いイメージがするのに対し、女性形はガイシの下で弧を描く送電線が柔らかなイメージがすることから来ているそうです。なるほどねぇ。

 もちろんこれは「鉄塔武蔵野線」の主人公の少年が勝手に決めた呼び名なので、正式な物ではないのですが、親しみを持てる呼び名で、定義もはっきりしており、見事な愛称だと思います。このページ「鉄塔・結構・小結党」でも採用させてもらってます。

 もちろん、電力会社では、男性型、女性型とは呼びません。しかし、男女はちゃんと分類しています。「男性型鉄塔」は「懸垂形鉄塔」と、「女性型鉄塔」は「耐張形鉄塔」と呼びます。単純ですね。鉄塔がどんな働きをしているか、それがそのまま命名されているのです。

[男性形鉄塔の写真]

 男性型鉄塔は懸垂形鉄塔ですから、右のような鉄塔も男性形鉄塔になります。ちょっと変わった形ですが、高電圧を運ぶ鉄塔ほど、このような形の男性形が多くなってます。たぶん、単純に先端に吊るすより、腕金にかかる荷重を軽減できるという利点があるのでしょうね。




 
   
 
 


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