SVX日記

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2006-09-23(Sat) デジタル文明開化……退化?

  改めて書くのもおこがましいが、世はデジタル真っ盛りである。んが、オイラがPCを使い始めた1983年頃は、PCで「音」を扱うこともままならなかった時代であった。ましてや、「動画」を扱うなんてもってのほか。一部のゲームなどは目をパチパチとまばたきする効果を入れた程度で「アニメーションッ!!」なとど銘打っていたくらいである。あぁ、旧き良き時代。

  当時は、動画どころか静止画像ですらかなりままならなかった。当時はよくて640x200の8色表示が限度であったから、肌色を出すだけでもヒト苦労。巧みに赤と黄色と白を交互に配置(タイリング)して作り出していた。つまり、写真を取り込むなんてコトは考えられなかった。当時のオタッキーはLINE命令やPAINT命令を駆使し「数10分かけて」画面にラムちゃんの絵を表示させ喜んでいたっけ。思い返しても意味不明で、いったいアレにはなんの意味があったんだろうか、と考える次第である。

  当時、音で突き抜けていたのは、テクノソフトのゲーム「サンダーフォース」のX1版。このゲームはシャベったのである。今で言うとサンプリング音声の再生を特別なハードの支援なしで実現していた。仕掛けは簡単で、グラフィックRAM(今で言うビデオRAM)上にベタのサンプリング(PCM)データを置いておき、PSG(今でいうサウンドカード)にタレ流しているだけ。しかしココでの着目点は、グラフィックRAMの全域がサンプリング音声に使われていたコト。ちなみにグラフィックRAMの容量は48KByte。だから、全域を使っても再生できるのは2秒間に過ぎない。「さんだぁ〜ふぉ〜すっ」のヒトコトだけ。

  画像の説明

  ココで改めて考察すると、サンプリングスペックはおそらく「約24kHzの8Bit」とであろうと逆算できる。でもって、CPUは4MHzだったから、インストラクションサイクルは1M/sec。40命令程度でループを組んでいたことになる。ふむふむ。そんなにキツくはないよな。ヒトリ勝手に納得。もヒトツ考察すると、この48KByteのサンプリング音声をテープからデータとして読み込むのには「48KByte → 49512Byte → 393216Bit / 2700bps → 145.6sec」が必要だと逆算できる……おいおい、あのヒトコトを発声するために2分半ものロード時間(メディア読み込み時間)を費やしていたのかよぉ。むむぅ……ヒトリ勝手にいまさら不満爆発。

  さて、そんな時代を経て、今やすべてがデジタルである。PCの能力は飛躍的に向上し、処理範囲は静止画、音声、動画にまで拡大した。そんな中、長年かけて徐々に浮上してきた問題が、デジタルコピーの問題。現在ホットなのはふたつで、アングラ方面の「ピアツーピア」と、陽の光の下で延々と不毛な討論をしている「コピーワンス」。オイラは基本的に前者にはあまり興味はなく、後者に興味があるので、ココでは後者について書いてみる。

  イキナリ結論から言うと、単純に「締め付け過ぎ」だと感じる。なんでもかんでも規制すればいいというものではない。世では「規制緩和」なんていうキーワードも流行っている今日この頃だぞ。規制によって衰退し、規制緩和によって隆盛した文化なんていくらでもあるのだ。黒船だったiTMSから何も学ばないという意味がわからない。

  つーか、電波塔から発信されたデジタル動画ってのは、その時点で不特定多数にバラ撒かれているのである。不特定多数にバラ撒いておきながら、その後の取り扱いをコントロールしようなんてのは、単純に考えてムシがよすぎる。イヤなら最初からバラ撒くな。これは、ハナから特定の人に対価を払って観せている映画やDVDのコピー問題とは、まったく別の問題だといえよう。

  基本に立ち返って、なんで最近になってコピーが問題になってきたかについて考える。そりゃ、デジタル情報は一切の情報の劣化が発生しないからだ。今までのアナログ情報ならば、コピーをすれば少なからず劣化した。アナログだから許せる。デジタルだから一切のコピーは許さない、というワケか? もし、それが理由ならば、アナログのコピーをシミュレートしちゃえばいいんじゃないの? アナログコピーライクに、コピーするにつれどんどん画質が悪くなるようにしちまったら?

  例えば、一度コピーすると、1920x1080から960x540、音声のビットレートも半分になるようにしてしまうのである。それを放送電波を録画した時点から始めてしまう。つまり、手元のHDDレコーダにはイキナリDVDより少し上程度の録画しか残らない。で、外で携帯映像再生機器で見ようとコピーすれば、更に半分の480x270。これはワンセグより少し上程度。しかし、携帯機器であるコトを考えれば、データ量はむしろリーズナブルでもある。

  大抵の場合、ユーザが自由にできるのはこの3世代目からなので、いっそのこと、この状態ならどう扱われてもいいことにしちゃおうよ。例えばWeb配信やYouTUBEライクな投稿サイトも含めて自由にさ。それ以上を求める人は、別途HD-DVDを買うなりなんなりしてくれと。一般のユーザはそこまでしないと思うけど。

  どーも、映像・音楽業界全般の人間の認識と、一般ユーザとの間には温度差がありすぎる気がする。業界の人間はいわば最高のオタクだが、だからこそ消費者もオタクばかりだと思っているフシがある。だから、ハイビジョンでコケたり、DVD-Audioが普及しないんでクビを傾げたり、地上デジタルなんてものを強引に推し進めたりするんじゃないの? 前にも書いたかもしれないけど、CDが成功したのは、圧倒的な音質の変化が理由なのではなく、取り扱いが簡易になったせいなんだぜ(たぶん)。DVDも同様だ(たぶん)。

  実は、ある意味でCCCDもそうなんじゃないだろうか。CCCDといえば音質が悪いとか、プレーヤが壊れるとか、そんなトコロばかり取り上げられていたけど、よく考えれば「コピーさせろや」ってのが本心には違いない。別に悪用すると限ったわけじゃないんだし、ユーザは不便なのがガマンがならないのだ。結果、業界はユーザがセンシティブになっている部分を狙って踏みにじるコトを繰り返しているワケだ。

  実はオイラ、地上デジタルについてもユーザが増えたあたりで「チャンネルチェンジのマッタリさ」が問題になってくると思っているんだよね。その結果、チャンネルをパカパカと変えるようなザッピングスタイルで視聴する人は、テレビを観るのがおっくうになったりもすんじゃないか、と。再度いうけど、一般ユーザが求めているのは質より利便なのだ。なんだかねぇ……時報がマトモに機能しないとか、そういう退化をしてまで改革しなきゃならないとはとても思えないんだけどなぁ。

  何十年も前に、モノクロテレビをカラー化した際の「何も失わなかった」移行を再考して欲しいなぁ。今の技術レベルってそんなに低いのか? どうにかすりゃ今からでも上位下位互換くらい確保できるんじゃないの? この文明開化の時代だぜ?

  あとさ……コレは私見だけどさ、地上デジタルって電気屋で映像を観ても……別に驚くほどキレイじゃない気がするんだけどさ……ホントにコレで突っ走るの? ホントにイイの? マジで?